Stacyの日記

時事ネタを中心に日常でふと思ったこと

小松左京『復活の日』

新型コロナウイルス禍の中、現在の状況が小松左京の小説『復活の日』に似ているとSNSに挙げている人が数人いて、興味が湧いたので読んでみた。

謎の感染症で人類がほぼ絶滅し、唯一南極大陸にいた人々だけが生き残った。何とか生命をつなぎ、種を残そうとしている中、その南極大陸にも危機が迫り、南極大陸を守るために「生贄」がワシントンDCとモスクワを目指し・・・というストーリー。

謎のウイルスに冒され、次々に人が死んでいく場面の描写が怖い。今の新型コロナウイルス禍同様、医療崩壊が起き、医師も過労や感染で死んでいく。遺体処理のために自衛隊員が動員されるが処理が追い付かない、その自衛隊員も感染によってマンパワーが限られる。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図であるが、この描写は作者が戦時下に受けた空襲体験に基づかれているためか、実にリアルだ。

物語と今の状況が違うのは、ウイルスによって死者は増えても人類が滅亡するところまでは至っていない点だろうか。新型コロナウイルスで社会は混乱し、経済は停滞しても、人々は今後も生活していく。ヒトという種が絶滅する危機はないが、新型コロナウイルスという感染症と闘いつつ、社会の混乱を収束させ、人々が安心して暮らしていくにはどうしたら良いのか。

取り敢えず、個々人ができる最低限のこと ― 自分が無症状の患者かもしれないという想定をして、他人に移さないことを意識し、自宅に籠り続けよう。