Stacyの日記

時事ネタを中心に日常でふと思ったこと

肺炎で亡くなること

母が亡くなったのは数年前。死因は肺炎だった。

新型コロナウイルスについての報道で、肺炎について聞くことが多く、肺炎で苦しんだ末に亡くなった母のことを思い出している。

 

母はもともと別の病気で入院中だったが、風邪をこじらせたのか肺炎になってしまった。抗生物質を投与して回復を目指したが、抗生物質も種類によっては体質に合わなかったり、体質に合っても肺の炎症を止める効果がなかったり、お医者さんも看護師さんも苦労しながら治療に当たってくれた。

 

回復の兆しが見えたり、再び悪化したりを繰り返して2か月が過ぎたころ、肺炎が重症化して呼吸困難を起こして危篤になった。その時、私は不在だったため姉が対応したが、あまりに呼吸が苦しそうで器具を着けてもらうように依頼した。あれが人工呼吸器だったのかどうか不明だが、ホースを気道に入れて強制的に呼吸をする機械だった。

 

機械を装着して5日後、出張先から戻って母の様子を見に行くと、機械の助けを借りても呼吸は苦しそうだった。医者はレントゲン写真を示しながら、抗生物質の投与は続けているが、肺が真っ白で炎症が治まらないと説明してくれた。そして、2か月以上も肺炎と闘っている母の体力もかなり衰えているし、心臓も弱ってきている、と死期が近いことを示唆された。

 

危篤と言われて2週間が過ぎた頃、苦しそうだった呼吸が楽になり、レントゲンで確認したら肺炎も治まっていた。ホース状の器具も外され、母は静かに呼吸しながら眠り続けていた。私たち家族は奇跡が起こって母が回復したものと思っていて楽観していたが、数日後、母は静かに亡くなった。肺炎は治まったものの、呼吸も浅く、心臓の鼓動もかなり弱くなっていたようだ。

 

毎日午後に母の様子を見に病院に通っていて、その日も午前中は仕事をしていた。すると母がかなり危ない様子だと病院から連絡が入り、慌てて病院に行った。母は前日までいた病室から個室に移され、静かに目を閉じていた。主治医がすぐにやってきて、時計を見ながら「〇時〇分、ご臨終です」と告げた。連絡があった時には呼吸が止まり、次いで心臓が止まったというが、私が到着した時が死亡時刻になった。死亡診断書の死因には「肺炎」と書かれていた。

 

新型コロナウイルスで亡くなった方も死因は肺炎だと聞くと、母の最期を思い出す。母は肺炎で最も呼吸が苦しい時に亡くなったのではなく、肺炎で傷めつけられた後、静かに亡くなり、死に顔も穏やかだった。それでも、ホース状の器具を気道に入れて、荒い息をしながら肺炎と闘っていた姿も同時に思い起こされる。

 

新型コロナウイルスで苦しむ人が増えないことを願っている。